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日本の風土に調和した工芸品を多く持つ香川県

香川県は四国地方の北東部に位置し、全国で1番面積の小さな県です。瀬戸内海に面して讃岐平野が広がり、晴天が多く雨があまり降らない気候で、あちらこちらにため池がある光景が見られます。堅実で人情に厚い県民性で、利便性と自然が調和した住みよい県としても知られ、岡山県までのびる瀬戸大橋、こんぴらさんの愛称で親しまれる金刀比羅宮、コシの強い麺で知られる讃岐うどんなど、観光名所や特産品も豊富な歴史ある地域です。
そんな香川には素晴らしい技術を今に伝える工芸品もたくさん存在し、国から「伝統的工芸品」の指定を受けているものが多くあります。精緻な装飾の技法を多数持ち、普段使いから観賞用としての芸術品まで幅広く楽しめる香川漆器、日本の風土と調和してきた桐下駄、夏の風物詩として今も愛されるうちわ。今回は香川の工芸品の中から、特にこの3つについてご紹介します。


 

精緻な装飾が美しい 香川漆器

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しっとりと手になじみ、豊かな質感を感じられる漆の器。使い込むほどに深い味わいが出てくるため、高級感と落ち着きを持ちながらも普段使いをためらわないで済む器です。香川で漆器作りが振興され、香川漆器としての一大ブランドの礎が築かれたのは江戸時代のことで、現在では高松漆器、讃岐漆器とも呼ばれています。
その特徴になっているのは、塗り重ねた漆の地に模様を彫り、そこに色を埋めていく「蒟醤(きんま)」、漆を塗った表面に模様を描いてからそれに沿って彫る「存清」、100回以上漆を重ね塗りし、その漆の層を掘り下げて模様をつける「彫漆」、朱色の漆を塗って指先で斑模様を描く「後藤塗」、真菰(まこも)という植物の粉末を刷毛塗りする「象谷塗」という5つの技法です。どの技法で作られた器も素晴らしいもので、お気に入りの一品になること間違いなしです。


 

日本の伝統と風土によく合う 桐下駄

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香川県さぬき市の志度町では、明治40年から桐下駄の生産が始まりました。昔は着物に合わせて日常的に履くことの多かった下駄ですが、洋服が普及するに従って近年では特別なファッションの一部として若者にも取り入れられています。吸湿力の高い桐は湿度の高い日本の気候風土によく合い、木の温もりがはだしの足の裏に心地良い感触をもたらします。特に福島や新潟などの豪雪地帯で育った桐は、年輪がつまっていて耐久性も高く、なかなかすり減らないため、下駄の材料としてよく使われます。
桐下駄は、約40もの工程を経て完成に至るという繊細な作業が必要だということもあり、現在では伝統技術を継ぐ後継者不足におちいっています。かつては40軒ほどあった桐下駄店は2軒にまで減ってしまいましたが、それでも全国で生産される桐下駄の4〜6割は志度で作られています。

エアコンが普及した現代でも やっぱりうちわは夏の風物詩

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丸亀うちわは、江戸時代の初期、金比羅参詣のお土産として作られたことが起源となっています。その後、京極丸亀藩によって武士の内職として奨励されたためさらに生産がさかんになり、明治時代には丸亀団扇組合が結成されたことで、丸亀市の代表的な特産品となっていきました。現在は年間およそ8000万本の生産が行われていて、全国シェア9割を超えるに至っています。丸亀でこのようにうちわ作りがさかんになったのは、うちわの材料である竹は愛媛から、紙は高知から、糊は徳島から調達できるという地理的条件の良さが強みとなっていたからとも言われています。
丸亀市には「丸亀市うちわの港ミュージアム」というユニークな博物館があります。丸亀うちわの歴史や工法を紹介しているだけではなく、全国のうちわが展示されているという、うちわの総合博物館となっています。


 

自然と暮らしに調和する 香川の工芸品

ものづくり文化が豊かな香川では、風土や暮らしに根付いた工芸品が多く見られます。時が経つに連れて日本人の生活様式にも大きく変化してきましたが、香川漆器の美しさは昔も今も変わらず愛されています。また、本来はサイズや左右の区別がなく、すり減ったら左右をチェンジして履くことで長持ちさせられる桐下駄は、日本人の「もったいない」精神をうまく反映させ、現代のリサイクル、リユースの風潮にもよくなじんでいるのではないでしょうか。エアコンが普及して久しいこの頃ですが、日本の夏からうちわが消えることもおそらくないでしょう。それは工芸品によって古き良き時代を思い出すからというだけではなく、今の時代にマッチした合理性もあるからではないでしょうか。
香川には他にも素朴な味わいを感じられる工芸品が多くあります。ぜひ手に取って、香川の深い歴史と豊かな自然を感じてみてください。

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