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歴史と文化の結晶 京都の工芸品

今から1200余年も昔、京都に平安京が置かれました。大陸の文化を貪欲に導入した奈良時代との決定的な違いは、それらの文化や思想を礎に「国風文化」という我が国独自の技術や芸術が発展していったということでしょう。京都には長い歴史と、この街に生きた人々が築き上げてきた多くの工芸品があります。
「京都府知事指定工芸品」とは、そんな伝統的な技術を守り、後の世に引き継いでいくために指定された伝統工芸品のことです。工芸品、技術活用品、伝統食品という3つの種類があり、現在30以上の工芸品がその指定を受けています。今回はその中から、国内のみならず海外からも高い評価を受けている「西陣織」、人々の暮らしに根付いた工芸品である「京くみひも」、そして優れた芸術家の手により国宝や重要文化財も多く生まれた「京焼・清水焼」についてご紹介します。


 

長い歴史が培った伝統の技 西陣織

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京都を代表する伝統工芸品「西陣織」は、京都府上京区から北区にわたる「西陣」と呼ばれる地域で生産される高級絹織物のことを言います。布地を後から染めて図柄を完成させるのではなく、様々な色の糸を織り上げて模様を浮かび上がらせているのが特徴です。
京都の織物の歴史は古く、古墳時代にまで遡ります。渡来人が大陸の織物技術を持込み、平安京の時代には織物の役職も作られました。応仁の乱の際に職人たちは各地に離散してしまいましたが、戦乱が収まった後はまた京都での織物作りが再開されたのです。応仁の乱において、この地域に西軍の陣が置かれたことが「西陣」の名の由来となっています。
西陣織には完成までに様々な工程があり、そのひとつひとつを優れた技術者が担当しているいわば総合芸術です。確かな技術によって織り上げられた西陣織は、国内だけでなく世界からも高い評価を受けています。


 

細かなところにも美を求める 京くみひも

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3つ以上の糸の束を編み、組み合わせて織り上げた「くみひも」。日本では縄文時代から簡単な紐が作られていましたが、工芸品としての紐は仏具や巻物の飾り紐として使われているものが仏教とともに日本にもたらされました。京都の工芸品である京くみひもの始まりは平安時代であったと言われています。1000年以上もの昔からくみひもの技術が受け継がれてきた背景には、日本人の生活環境や美意識があると言えるでしょう。
くみひもは、仏具や巻物、礼服や冠の緒、楽器や調度品、掛け軸に茶道具などのほか、戦国の時代においては武具や刀剣にも用いられました。江戸時代には庶民の羽織紐や髪結い紐にも登場するなど、需要に応じてバリエーションも増していきます。そして、現在では京くみひもの基本的な組み方は約40、細かな柄や種類に至っては3000以上もの種類があると言われています。


 

個々の才能と技が光る 京焼・清水焼

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平安京が置かれ、思想、芸術、あらゆる文化が集まる場所であった京都には、古くから中国や日本各地の陶器が流通していました。そして安土桃山時代になると茶の湯が流行し、京都でも本格的にやきものの生産が始まったと言われています。粟田口焼や八坂焼など京都各地で生産されるやきものを総称して「京焼」と呼びますが、中でも清水寺に向かう参道である五条坂で焼かれていた「清水焼」は特に有名で、清水焼=京焼という意識が一般的に定着してゆきました。そのため、京都府知事指定工芸品においても「京焼・清水焼」という名で指定を受けています。
このような背景から、一口に「京焼」「清水焼」といっても独自の製法があるという訳ではなく、その種類は多様です。江戸時代には野々村仁清や尾形乾山などの名工が登場し、京都のやきものは技術・デザインともに更なる発展を遂げていったのです。


 

人から人へ受け継がれてゆく 京都の工芸品

京都府知事指定工芸品には、今回ご紹介した「西陣織」「京くみひも」「京焼・清水焼」以外にも様々なものがあります。
染め物の技術ひとつにしても、絵画のような鮮やかな模様が美しい「京友禅」や気品あふれる「京小紋」、手作業で行う絞り染め「京鹿の子絞」、礼服や喪服に用いられる「京黒紋付染」などの種類があります。ほかにも、畳や表具、刺繍、仏壇仏具に漆器、人形や刃物、扇子やうちわなど内容はバリエーションに富み、そのどれもが京都の歴史や文化、人々の生活に深く根ざしたものになっています。
これらの工芸品の数々は全て、多くの人の手により磨かれ、芸術とも言える高みに到達したものです。それはあたかも、糸をひとつひとつ織り上げゆくくみひものようなもの。私たちはそんな京都の工芸品について知り、守り、次の世代へと受け継いでいかなければならないのです。

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