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宮城の気候風土の恩恵を受け育まれた伝統工芸品

東北地方にあり太平洋に面した位置にある宮城県。東北地方の中では比較的雪が少なく、夏の暑さも厳しくない恵まれた気候となっています。また、山や海といった自然の恵みが多く、農業では、ササニシキやひとめぼれが有名な稲作のほか、イチゴ、ナシなどの果物などがあり、漁業ではカツオやマグロなどがあり食材大国として知られています。そんな宮城には伝統の工芸品もたくさんあります。

宮城の工芸品は生活の中から生まれた品が多くあります。素朴な温かさがありながら、匠の伝統の技が光る逸品ぞろい。宮城の気候風土や歴史によって育まれたこだわりの手仕事の数々。今回はそんな伝統工芸品の中から、「鳴子こけし」、「雄勝硯」、「鳴子漆器」の3つをご紹介します。どれも、素晴らしい素材と積み上げられた歴史ならではの品々で、宮城を代表する工芸品ばかりです。


宮城を代表する工芸品、鳴子こけし

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こけしは東北地方発祥で、昔は子供のおもちゃとして作られていました。こけしは子供の遊び道具であると同時に子供の健やかな成長を願い、子供の成長と共に顔や胴体に模様を書き入れていました。現在では、観賞用のお土産として作られることがほとんどです。

宮城伝統こけしである鳴子こけしは、そんな東北のなかでも最も歴史ある生産地です。その特徴は、胴体の肩の部分は盛り上がり中央に向かって細くなるシルエットにあります。また、模様は「重ね菊」という赤色を使った鮮やかな菊が胴体に描かれます。前髪のある優しい顔立ちも鳴子こけしの特徴です。

鳴子温泉郷の入り口では巨大な鳴子こけしがお出迎えしてくれます。他にも歩道の柵や郵便ポストがこけしになっています。また、鳴子温泉駅では駅員の制服を着た「駅長こけし」が改札口で出迎えてくれるなど、鳴子全体で鳴子こけしを盛り上げている様子がうかがえます。


石巻市特産の工芸品、雄勝硯

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宮城県石巻市を代表する工芸品である雄勝硯は、室町時代から続く歴史を持つ伝統ある硯です。江戸時代には牡鹿半島に来た伊達政宗に献上され、いたく気に入られました。その後伊達藩に硯師が召し抱えられ硯の原料が採れる山を「お止め山」として一般の人々が石を採ることを許さなかったといいます。一時は日本の硯の90%以上を生産していたといわれる雄勝硯ですが、昭和の後半から産業が衰退していきました。ですが、東日本大震災での壊滅的な打撃をきっかけに復興プロジェクトが立ち上がるなど、今、全国から注目が集まっています。

原料である雄勝石は、圧縮や曲げに強く吸水率が低い硯に適した良質なものです。そんな上質な原料で作られる雄勝硯の特徴は、鋒鋩(ほうぼう)のバランス良い粗さ、堅さ、柔らかさにあります。また、色は黒から暗めの藍色で、豊かな艶と滑らかさが魅力です。


木目の美しさが魅力の鳴子漆器

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大崎市鳴子特産の工芸品の一つに鳴子漆器があります。18世紀には既に鳴子の主要産物であった鳴子漆器は、現在でも宮城県大崎市を代表する工芸品のひとつです。その特徴は透明な漆を使って木地の木目を活かした「木地呂塗」、木地に漆を何度もふいてしみ込ませる「ふき漆仕上げ」などがあります。他にも、墨を流したような模様が美しい「竜文塗」も鳴子漆器らしい品です。お椀、箸、お盆などの日用品が作られることが多く、その素朴な味わいはお土産の定番となっています。

木地に使われる木材は、木目が美しいケヤキや柔らかくて挽きやすいトチ、ほかにもサクラやクワなどがあります。木材によって独自の味わいが出るのも鳴子漆器の魅力の一つです。鳴子漆器の制作は、木材を厳選し、木地作りを行うのが木地師。その後の錆び付け、中塗り、上塗り、磨きなどを行うのが塗師と分業で行われています。


素朴な味わいが魅力、宮城の伝統工芸品

愛らしい表情と華やかな菊模様が美しい「鳴子こけし」、優れた素材から生み出される上質な逸品「雄勝硯」、木目の美しさを存分に活かして作られる「鳴子漆器」。どれも、宮城の工芸品らしく素朴でありながら、確かな職人の手仕事で丁寧に作られた逸品ぞろいです。鳴子温泉など観光地としての顔も持つ宮城は、土産物の需要によってさらに伝統工芸品を発展させてきました。宮城にはご紹介したほかにも藩の宮大工が作ったことに由来する「仙台箪笥」、能装束に使われたこともある絹織物「仙台平」、玉虫色が美しい漆器の「玉虫塗」など、多彩で魅力的な伝統工芸品がたくさんあります。

最近では、赤色が主だった鳴子こけしにインディゴ系の青色で絵付けをして現代のインテリアにあうものを作るなど、伝統に縛られない新しい試みも増えています。これからも進化を続ける宮城の工芸品から目が離せません。

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