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人情の街大阪の歴史あふれる工芸品とは

大阪といえば、どんなイメージをお持ちでしょうか。お好み焼きやたこ焼きをはじめ、さまざまなグルメのあふれる食いだおれの街、人情あふれるパワフルな人たちがひしめく大都会、漫才のさかんなお笑いの聖地、海遊館やユニバーサル・スタジオ・ジャパンなど家族みんなで楽しめる多くのテーマパーク。どれをとってもにぎやかで楽しいイメージですが、実は長い歴史を持つものづくりのさかんな街でもあります。歴史と風土に育まれてきた、昔ながらの伝統技術を今に伝える工芸品には、職人の繊細な技が光ります。
ここではそんな大阪の工芸品の中から、紀元前からの歴史を持つ金属「錫」から作られる、銀色の輝きが美しい大阪浪華錫器、日本一の切れ味を誇ることで知られる堺打刃物、気候や風土に調和し日本最高峰の品質と名高い大阪泉州桐箪笥について、ご紹介していきます。


 

鈍く輝く銀色が美しい 大阪浪華錫器

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錫(すず)という金属には長い歴史があり、紀元前1500年のエジプトにおいてすでに酒器として使われていたということが、発掘によってわかっています。日本に伝わったのは6〜7世紀頃と言われていますが、当時は金や銀に次いで貴重な金属とされ、宮中や神社の一部特権階級のみが使用できるものでした。大阪では17世紀から錫器の生産が開始され、18世紀初頭に次々と製造業者が創業して特産品としての地位を確立しました。1983年には「大阪浪華錫器(おおさかなにわすずき)」として、国から伝統的工芸品の指定を受けるに至っています。
錫は金属としては非常に柔らかく加工が難しいため、工程は全て職人による手作業となります。神具、仏具、茶器などがよく作られ、近年ではビールを飲むタンブラーの製造も多くなっています。錫は熱伝導率が高いので、ビールの冷たさをそのまま感じることができます。


 

切れ味抜群で料理人のマストアイテムに 堺打刃物

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国内外問わず、料理人に大人気の堺打刃物。その切れ味は他の追随を許さないほどだといいます。大阪府堺市東部にある最大級の古墳、仁徳陵が造営された5世紀頃にはこの地に鍛鉄技術が伝わり、土木工事のための工具が数多く作られていました。平安時代にはその技術が刀の製造へと移り、16世紀には鉄砲とともに日本に伝わった煙草を切るための包丁が作られるようになりました。そのすさまじい切れ味は江戸幕府にも認められるほどで、全国にもその名を知らしめていきます。現在では堺市や大阪市とその周辺地域で作られる刃物製品が「堺打刃物」として商標登録されています。
煙草包丁の生産がさかんになった江戸時代にはすでに出刃包丁や刺身包丁、三徳包丁などあらゆる種類の包丁が作られるようになっており、現在では一流の板前さんのほとんどが堺打刃物を使っていると言われているほどです。


日本の風土によく合う 大阪泉州桐箪笥

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質の良い材料を、職人の洗練された技術で組み立てる、大阪泉州桐箪笥。その品質は、国内で生産される桐箪笥の最高峰と呼ばれています。箪笥の製造技術は、江戸時代には大阪にもたらされていたと伝えられていて、堺や和泉などに広まっていきました。流通の中心地、「天下の台所」となった大阪は大変豊かであり、生活に余裕のある庶民は所持するモノの量が増えていきました。それらを収納するため、箪笥というものの需要が大きくなり、広く浸透していったのです。
桐は柔らかな質感と美しい木目を持ち、和室、洋室の両方によくなじみます。まわりの湿度が高いときには湿気を吸い、低いときには放出するという性質を持っているため、桐箪笥の内部はいつも一定の湿度が保たれ、衣服類の収納には最適です。国の伝統的工芸品の認定を受けているとともに、岸和田市から「岸和田ブランド」にも指定されています。


 

今の時代にも見事にマッチする 大阪の工芸品を見に行こう

工芸品というと、伝統技術を受け継いだ職人の、長年の鍛錬が結晶となった芸術品というイメージがあります。素晴らしい作品であればあるほど、鑑賞するだけに留めてしまう…しかしそれはあまりにもったいないことです。それらは使われることによって、さらに価値を高めるからです。
たとえば、ご紹介した大阪浪華錫器。古くは茶器や神具といったものが主でしたが、最近の大人気品はビールを飲むタンブラーなのです。工芸品でビールを飲むというのは、なんともワクワクする経験ではないでしょうか。しかもそれがなぜ美味しいかという理由もきちんと存在しているのです。これぞまさしく古い歴史だけにとらわれない、時代に適合してきた工芸品の姿です。
時代の推移によって残念ながら消えていく工芸品も多い中、新しい形でニーズを得る工芸品たち。それは長い歴史を持つからこその成果なのかもしれません。

 

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