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豊かな自然と長い歴史に育まれてきた丹波の名産品

地名で「丹波」というと、古くは山陰道に属する令制国のひとつであった地名で、現在の兵庫県北東部、京都府中部、大阪府北部にあたる地域を指しました。現在は京都府の南丹と舞鶴をのぞく中丹を丹波地方と呼び、また兵庫県の丹波市、篠山市も丹波地方と呼ばれ、その名の名残が残っています。山に囲まれているので昼夜の寒暖差が激しく、丹波霧と呼ばれる霧に包まれる地で、その風土によって農作物がよく育ちます。そうして生まれた豊かな産物は古くから皇族や貴族に愛され、現在でも国内の多くの人に認知されるに至っています。
ここではそんな独自の気候風土と長い歴史によって育まれてきたバラエティ豊かな丹波の特産品の中から、特に丹波黒と呼ばれる黒大豆、起伏に富んだ地形を駆け回るおかげで上等の肉質を誇る猪肉を用いたボタン鍋、そして日本六大窯のひとつに数えられる丹波焼についてご紹介していきます。


 

漆黒の見た目が美しい 丹波黒大豆

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「今年も1年まめまめしく働けるように」という意味を込めて、お正月のおせち料理で必ず用いられることからもよく知られている黒豆。アントシアニンという色素を多く含んでいるので黒く見えますが、その他の栄養素などの面では大豆と同じものです。現在の兵庫県篠山市西紀町を原産地とする丹波黒大豆は、西日本の黒豆の主流であり、かなりの大粒であることが特徴です。また皮が破れにくいため煮ても美しい形を保ち、黒光りのツヤと芳しい香りが絶品の最高級品とされています。篠山では7月初めに種が植えられ、11月下旬〜12月上旬に収穫となりますが、10月中のさやがまだ若い時期に収穫される黒枝豆もほっこりと甘く、全国にファンがいます。
また、ポリフェノールやイソフラボン、ビタミンB・Eなどの栄養素を豊富に含み、健康に良い面でも近年注目されています。


 

野趣あふれる味 ボタン鍋

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ボタン鍋とは、猪肉を野菜と一緒に煮込み、だし汁にしょうゆもしくは味噌を溶いたもので食べる鍋料理です。篠山で味噌仕立てスープのボタン鍋が食べられるようになってから全国に広まりました。しかし篠山のボタン鍋は、発祥地だということだけでなく、他にはない格別なおいしさでもよく知られています。篠山の環境は、寒暖差が激しいため猪の食糧となる植物の育ちが良いこと、起伏に富んだ生活域で猪の運動量が増え、質の良い肉質になるからという特色を持つからです。
ボタン鍋という名前の由来には諸説あり、薄切りにした猪肉を皿に盛り付けた様がボタンの花に似ているからという説、猪肉を鍋で煮込むとボタンの花のような形に縮れるからという説、仏教伝来によって肉食を禁じられていた時代に隠語として鹿肉をモミジ、馬肉をサクラ、猪肉をボタンと呼んでいたためという説などがあります。


 

日本六大窯のひとつ 丹波焼

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丹波地方の伝統技術を今に伝え、篠山市の今田地区を中心として焼かれている陶器が、丹波焼です。その始まりは平安時代末期から鎌倉時代初期とも言われるほど長い歴史を持ち、瀬戸・常滑・信楽・備前・越前と並んで日本六古窯の1つとなっています。元々は皿や湯呑み、花瓶など実用性のある生活日用品を主体に作られることが多かった丹波焼ですが、高温で長時間焼かれるため燃えた灰が釉薬と混ざり合い、独特の色や風合いを醸し出すことで1品ずつ異なった趣が出るという特徴を持っています。そのため芸術品として鑑賞される価値を持つものも多く生産されています。「丹波焼」の他に「立杭焼」と称されることもありましたが、現在は「丹波立杭焼」という名称に統一されています。
毎年10月には今田町で「陶器まつり」が催され、窯元巡りができたり、大量に売り出される丹波焼のうつわを買い求めたりできます。


 

丹波の特産品で歴史を味わい尽くす

味覚の宝庫、丹波の特産品をご紹介してきました。その気候風土から豊かな味わいを持つ農産物が生産される丹波ではこの他にも、高級和菓子には欠かせないとされた丹波大納言小豆、7世紀から栽培されてきて朝廷への献上品ともなっていた丹波栗、噛めば噛むほど甘みの増す丹波米、香りの高さで知られるマツタケなど、長い歴史に裏打ちされた価値を持つ特産品が数多くあります。また、そのような歴史ある産物ばかりではなく、大粒で酸味が少ないという特長を持つブルーベリーなどのように、近年の品質向上努力によって認知度が上がってきている新しい特産品も増えています。
また、今に伝えられる伝統技術も丹波焼だけではありません。丹波木綿や丹波布など、昔ながらの製法が受け継がれ、今も愛されているものは多々残っています。丹波を訪れたなら、ぜひ多方面からこの地の深い歴史を味わいつくしてみてください。

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